カテゴリ:Book Review( 70 )

"Perish Twice" Robert B.Parker

Robert B. Pakerはスペンサーシリーズで日本でも有名だと思う。
"Perish Twice"はスペンサーではなくサニー・ランドールシリーズの2作目だ。

一作目は以前もレビューを書いたと思うけど、
"Family Honor"という作品で、ミステリーというより、ラブストーリーも含んだ素敵な作品だったので、一気にサニーファンになってしまったのだ。
特にサニーとサニーの別れた夫リッチーとの関係がとても素敵。
サニーは元警察官、父親も警察官をしていた。
リッチーはその反対 ギャング一家の出で、二人は愛しあっていたけれど、ギャングと警察という関係がちぐはぐして別れることになったのだ。
彼が出てくるシーンではリッチー・サンボラを思い浮かべて読むのが私の密かな楽しみだ。

さて、今回の作品
サニーのいけ好かない姉エリザベスと、セラピストをしている親友ジュリーの結婚が破綻していく様子と、
そしてゲイのお友達スパイクから紹介されたメアリー・ルーというレズビアンからの依頼から起きる事件とがからんでなかなか読み応えがある。

長年の結婚生活に嫌気がさして、刺激を求めようとしているジュリー
結婚が長くなるとみんな同じような気持ちになるかもしれないけど、なかなか次の行動には移せないよねえ。
しかし、お酒の量が増え、なんとなくおかしいジュリーを目の当たりにして心を痛めるサニー

エリザベスは、完璧なだんなHalが浮気をしてしまって、それをサニーに調べさせちゃうんだよね。
お話の冒頭はこのシーンからはじまっている。
サニーは依頼を受け、エリザベスのだんなハルに直接話をしに行く。
そして浮気がわかって、それを知ったエリザベスは完全にプッツンと切れてしまうのだ!
なかなかリアルな題材で引き込まれてしまう。
かといって、だんなとまたうまくやり直せましたなんて、ありきたりの終わり方にならないところもなかなかのもの。

それから、サニーの愛犬Rosieの扱われ方がとても良い。
この本の裏表紙が著者の写真がでかでかとのっているんだけど、
彼も犬を連れていて、Rosieに対する愛情のこもった表現がよくわかる。


実は、今回の本は図書館で借りました。
ハードカバーなので持ち歩くのは大変だったけれど、文字が大きく読みやすかったので助かりました。
文中 素敵な表現や使いたいフレーズがいっぱいあった。
ここでメモすれば勉強になるんだろうけど、なまけものな私は思うだけで実行に移せないでいる。


セントラルの図書館にはスペンサーシリーズもたくさん並んでいたので、
このまま読みつづけていくつもり。


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by Junpei642 | 2008-10-03 00:20 | Book Review | Comments(0)

"Marley and Me" John Grogan

ペンシルバニアのコラムニスト John Groganが書いた ラブラドールレトリバーのお話。
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Dが図書館で借りて感動したといって、私にまわってきた一冊。

新婚ホヤホヤのJohnとJennyは二人とも子どもの頃に犬と暮らした経験があり、
それがとっても良い思い出としてのこっている。
毎日 新聞にのっている子犬情報にチェックをいれ、ラブラドールの赤ちゃんを買うことを決心する。

ところが、このラブラドール とんでもない暴れん坊で、まさにハイパーアクティブなわんちゃんだったのだ。
家中のものを壊すし、何でも食べる。
結婚記念日に買った金のネックレスも食べてしまった。
犬の学校をすぐに退学になった経験もある。

忠犬ハチ公のように賢い犬のお話はごまんとあるけれど、これだけどうしようもない犬のお話は未だかつて読んだことがない。
しかし、そんなハチャメチャな犬が時折見せる優しさや忠誠心に心をうたれてしまうんだよね。

Jennyが初めての妊娠のあと流産してしまったとき、
一人目の子どもを初めて家に連れ帰ったときのMarleyのようす。
近所のティーンエージャーが刺されたときのエピソード

何より、もう年老いて何度も死にかけたMarleyが、
Johnが出張中、彼を探して家中を捜しまくり、
その後 Jennyがベッドの隣で静かに眠る彼を発見する。
たまたなJennyが枕を片方に寄せて布団をかけておいたのを、Johnが寝ていると勘違いしたMarleyが、やっとほっとしてすやすや眠ることができたというエピソードだ。

そしてお話はクライマックスへとすすんでいく。

犬を飼ったことのある人なら誰でも経験することといえ、ペットを失うことはつらい。

その悲しみを整理すべく書いたコラムに寄せられた大量のメール。
それが元でBad dog clubが発足した。

この本は、犬を飼っていたときのことをい~っぱい思い出させてくれる。

誰もが自分の家の犬が一番賢いと信じているものだ。

だんなは過去何匹も犬を飼った経験があって、その中でもハチと呼んでいた柴犬への思い入れは半端ではない。たまにテツのことをハチと呼び間違えるぐらいだ。

私にとっては実家で飼っていた柴犬の雑種ロンかな?
プライドの高いちょっと怖い犬だったけれど賢こかった。

だんなのお兄さんのところに生まれた2匹の柴犬は、
一匹はだんなの実家へ引き取られ、一匹は私の実家に引き取られた。

実家の犬 2代目ロンは、両親に溺愛され子どもみたいに育てられた。
彼も賢い犬だったな。
今でも父にとって生涯一番の犬だったと思う。
彼は14年の天寿をまっとうして母が亡くなる1年程前に虹の橋を渡っていった。

そんな賢い犬でもトラブルはあった。両親が京都に1年間住んでいたとき私が彼の世話をすることになり、ある日、散歩に連れて行った野原に犬のうんちがあって、それを自らからだにこすりつけたのだ。
クソまみれになった黒柴ロンを必死で連れ帰り、秋深まる寒い夕方、かわいそうだけどホースでロンに水を大量にかけてシャンプーしなければならなかったこと。
今でも鮮明に覚えている。

ロンは、賢かったけれど、彼が1歳のころうちの娘が生まれ、大好きだったお父さんが孫娘に夢中になってしまったとき、さすがにちょっとおかしくなった。
だからロンは最後まで娘に気を許さなかった。

その点、Johnの3人の子どもにとても優しかったMarleyはりっぱである。

犬は人間の最良の友だということを思い出させてくれる一冊。
猫もかわいいし癒されるけど、犬は格別だな。

日本では「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」(早川書房刊)というタイトルで発売されていて、ジェニファー・アニストン、オーウェン・ウィルソン主演で映画も作られています。

ちなみにMarleyという名前はボブ・マーリーからつけられています。
彼らの最初の家がフロリダで、いつでもラジオからボブ・マーリーがながれていたからだそうです。

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by Junpei642 | 2008-09-23 00:59 | Book Review | Comments(4)

"Passage" Connie Willis

ひゃ~~っ、やっと読み終えた。
私 この本を読み終えるのに何年かかったんやろか?

Connie Willisという女性ミステリー作家、結構人気みたい。
でもこの本は750ページぐらいあるし、最初がめっちゃかったるくてなかなか話しが展開せず、
まあ途中からおもしろくなったものの、そこからもまたじらすんだよね。
それで長い間ほうってあったんだけど、gloriaさんのブログを見て、再度読み始めて、
そこからはなんだかおもしろくて一気に読み終えてしまいました。

心理学のドクター ジョアンナは臨死体験を研究していて、たくさんの人から臨死体験の話を聞きレポートを書いている。そんなとき、同じ病院の中に特殊な薬を使って、人を臨死状態にして研究をしているドクター、リチャードに出会う。彼はハンサム医師だ!

そしてジョアンナ自身もみずから実験台になるのだ。

この話、臨死体験を話してくれる患者、昏睡状態におちいっている患者、心臓が悪くドナーがあらわれるのを待っている大惨事オタクの少女などが複雑に絡み合い、その名前を覚えるのも大変なぐらいややこしい。

Joannaは臨死体験が持つメッセージは何なのかというのをいつも考えている。
彼女が見る臨死体験の場所は昔の船の上なんだけど、それがTitanicではないかと考える。
しかし、Titanicであることを証明できず、昔、英語の先生が話してくれたTitanicのことを思い出し、その先生をたずねていく。
しかし、彼はアルツハイマーになっており、昔彼から聞いた話の重要なところが思い出せない。
まあこのあたり、本当にイライラする。

そのうち、話は衝撃的な展開となり、本当にびっくりするんだけど、
その後で、長きに渡ってちりばめられた伏線がどんどんつながっていき、まあ最後はまる~く納まるんだけどね。

夢の中で見る船の様子はかなり入り組んでいてややこしく、ジョアンナが勤める病院の中も、
AからBへの移動にめっちゃ時間がかかったり、近道があったり、嫌いな先生と話すのがいやなので隠れたり、そういう描写がめちゃくちゃ多い。
これはこの小説の中で大きな意味をなす、メタファーの一貫なんだろうけど、これを読むのにすごく根気がいるのだ。

その反面、お話の中に、すごく一般的な映画の話がいっぱい出てきて、それはちょっと砂漠のオアシスみたいに感じることができる。

大惨事オタクの女の子がとてもかわいく、彼女が出てくる場面が一番好きかも!

翻訳版は「航路」というタイトルです。
ちなみに臨死体験というのは英語でNear Death Experienceと言います。

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by Junpei642 | 2008-09-08 12:40 | Book Review | Comments(2)

堪忍箱   宮部みゆき

宮部みゆきの時代小説が大好きです。

「幻色江戸ごよみ」、「本所深川ふしぎ草紙」など 江戸の市井の人々のちょっとした話を
短編で書かれたものは気持ちがなごみます。

堪忍箱も同じノリで書かれたものですが、時代劇が大好きで、特に長屋の人々の交流や、
江戸商人、職人の何気ない日々が題材になっているものが大好きな私にとって、
この短編集も思いっきりお気に入りになりました。

特に「お墓の下まで」というお話は一番好きです。
昔、火事やいろんな理由で迷子になった子どもは、その子を見つけた人やその周りにいる差配さんが親が見つかるまで面倒を見るというシステムがありました。

藤太郎とゆき 兄妹も同じで親に捨てられた状態で差配人の市兵衛に引き取られ、やはり迷子として引き取られたおのぶと3人本当のきょうだいのように育てられ、いつしか市兵衛夫婦をおとうさん、おかあさんと呼ぶ間柄になっていた。
そこへ ゆきと藤太郎の実の母があらわれるのだった。彼女は二人を迎えに来たという。
実は、彼らは捨てられたのではなく、子どもが育てられなくなった彼らの母親が、差配のところに二人を置き去りにして、子供たちには暮らせるようになったら迎えにくるからという約束で、親も子も状況がわかった状態で捨て子のふりをしていたのだった。
そのことを心優しい市兵衛夫婦にうちあけることなく年月が経ったのである。

そのことがきっかけで、先に結婚して幸せな暮らしをしていたおのぶに相談したところ、
おのぶも同じ穴のむじなであったことが明らかになる。
おのぶの場合は、両親が悪い人で、迷子のふりをして差配やその他引き取ってくれる家にいついて、
そこから金目のものを盗んで親元に帰るということを繰り返していたのだった。
しかし、おのぶは一度両親のところに帰ったときに、差配の奥さんがおのぶを必死で探したということを聞いて心を入れ替え、それからは差配の子どもとして生きていくことを決心したのだった。

しかし、縁談があったときに、すべてを打ち明けてこんな性悪な育ち方をした私が嫁にいけるはずがないと、縁談を断ったのですが、差配夫婦はおのぶは既に娘と思っているのだから幸せな結婚をしておくれと、彼女をなだめ、彼女もそれを受け入れて幸せな結婚をしたのだった。

だから、おゆきにも、本当のことを市兵衛に話すといいとアドバイスをくれる。

この話には大きなオチがある。
市兵衛夫婦にも人には話せない後ろ暗い過去があったのだ。
市兵衛の妻は、そのことをずっと悩んで時には泣いていることもあったけれど、
誰に話すこともなく病気で亡くなってしまい、後ろ暗い過去は「墓の下まで」持っていったのだった。

みんないろんな過去を持ちながら生きているってことなのだ。

他にもおもしろい話がいっぱいつまったこのお話
宮部みゆきの時代小説もっともっと読みた~~~~い。


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by Junpei642 | 2008-07-24 11:32 | Book Review | Comments(3)

ノルウェイの森   村上春樹

昨日まで読んでいた「ノルウェイの森」 このお話について知らん人はおらんと思います。
読んだことなくてもそのタイトルは誰でも知っているかな?

実は、この本が出てしばらくしたころ、といっても既に2年ぐらい経過していたけれど、
子育て真っ只中のその頃、私には映画や本について何時間でも話せる子育て仲間がいた。
その中で「ノルウェイの森」が話題になりみんなで読んだ記憶がある。
もちろん私も間違いなくちゃんと読んだのだ。
でも、まだ若かったしいろんなことの経験値が少なかったせいか、いまいち理解できなかったような気がする。

44歳になった今、再読してみて「ぜんぜん理解していなかったこと」が明らかになった。
だって、まったく読んだことの無い本と言ってもいいぐらい、内容を覚えていなかったからだ。

村上春樹の小説って、わりと主人公のタイプが似たものが多く(そう私は感じる)、そしてその主人公は村上春樹そのものではないか?という気がする。だからこの小説も私小説と言われているようだ。
本人は否定しているけどね。

ストーリーは、ハンブルグに降り立った飛行機の中でビートルズの「ノルウェイの森」を聞いて、
突然20年前に自殺した彼女のことを思い出し悲しくなるというところからはじまっている。
そしてその彼女「直子」の回想がはじまるのだ。(ガールフレンドが死んでしまったことぐらいは覚えていましたよ)

主人公ワタナベくんは、17歳で自殺した高校の親友キズキくんの彼女であった直子を愛していたし、
直子もキズキくんとはできなかったセックスをワタナベくんとはできたし、心を患った後もワタナベくんを頼りにして時を過ごした。
「私のことずっと覚えていてね」といっていた彼女。
でも直子はワタナベくんのこと愛していなかったのだ。
う~~~ん 難解だな。

難解なので思考がストップしてしまいそう。

ワタナベくんの行動にもどうしてもよくわかんないところが多々あったしね~。
まっ、それだけ私が凡人ってことやろね。

このお話、1969年から70年にかけてのお話だけど、
当時私はまだ5歳か6歳、このお話の中には学生紛争以外その時代を感じさせるものは一切無い。
それがまた不思議な感じがする。

ストーリーの中にちりばめられた登場人物の行動や心の動きはものすごく上手に書かれていると思う。
「そうそうそうなんだよね~」と思うこともいっぱいあったし、女性作家が書く恋愛小説よりも共感できる部分が多かったのが意外。



また数年経ったら読んでみたいな。


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by Junpei642 | 2008-07-04 12:01 | Book Review | Comments(8)

グリーンクリスマス  野中柊

雪の降らないクリスマスのことを「グリーンクリスマス」と呼ぶそうだ。
なるほどなるほど

一見幸せそうに見える一家が、ほんとうは家族として機能していないdysfunctionalな様子を
小学校5年生の末娘の視線から語られる、ちょっとやるせないお話。

母親は父親にすすめられて父親のために働く青年と結婚、子どもを3人もうけて、
もうすぐ50歳というのに、きれいに着飾りお姫様のような毎日を過ごしている。

そんな母と同じような生き方を押し付けられ、さっさと親の選んだ相手と結婚して幸せになりなさいと言われつづける長女桜子は、就職とともに家を出て一人暮らししている。

憧れのお姫様と結婚でき本当は幸せだったはずの男、彼らの父親は結婚の現実を目の当たりにして、現実逃避するかのごとく、猫のローズィーを猫かわいがりする日々

そんな両親に弁護士の後継ぎを無理やりさせられそうになり、自分を取り戻すために籍を抜いて抵抗をしつづける長男はとっくの昔に家を出ていて、家族の縁もきってしまっている。

そんな家族を客観的にみつめる末っ子シューコは、母親が浮気していることを知って家出をする。

この話、最後に家族が絆を取り戻すのか!と期待させておいて、結局何も結論に至らないし、
話の途中で終わってしまった感じ。

ただ、近所の仲良し同級生ロクローに家族のことを話したとき、
いつか結婚しようと言われる。
「シューコちゃんをきっと幸せにしてみせるから」

その言葉を聞きながら、「あたしはおとこのひとに幸せにしてもらわなくても、自分で幸せになれるんだもの」と思うシューコよがんばれ!

尻切れとんぼみたいなこのお話、さらっと結構楽しめたかも。
そして感じたことは、現実にはこれよりひどいことがいっぱいありそうだなって。

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by Junpei642 | 2008-06-12 10:58 | Book Review | Comments(0)

「悪意」 東野圭吾

東野圭吾の小説はあまり集中しなくてもさらりと読めて、
それでいてしっかり楽しめた感が強いと思う。
しかし今回の作品は、ひじょうにこんがらがった読み終えた後も、何が本当の理由かわかりにくいタイプの終わり方だった。

中学の教師をやめて児童文学の作家になった野乃口は、同じく作家をしている同級生日高の家に呼び出され、彼が仕事場で殺されているのを発見する。発見者は彼と日高の妻である理恵だ。

その後、彼は悲しいことだけれどこれを記録しておくのは作家としてやるべきことと思い、
事件の様子を手記として残し始める。

その事件を捜査しているのは、野乃口とかつて同じ学校で教鞭をとっていた加賀という男だ。
第一発見者である野乃口は当然犯人として疑われる。
そして野乃口は加賀に自分が書いている手記を見せる。

加賀はこの手記を読みすすめていくうちにいくつかの矛盾点や巧妙にしくまれたトリックを発見する。
そして野々口が犯人であることをつきとめる。
この段階でまだ本は半分にも達していない。

「うん?犯人がわかったのにまだ何があるの?」という感じだ。

しかし、加賀は野々口が幼馴染でもあった日高をなぜ殺したのか、その動機を見つけられない。
野乃口も真実は絶対に話さない。
しかし、それがあきらかになるような証拠物が次から次へと見つかった。
野乃口が日高の書いた小説に酷似した小説を書いていたこと、日高の亡くなった元妻 初美と不倫関係にあったことなどがわかってくる。
そして、野乃口も本当の動機をきちんとして文章にして残したいと言い張り、
それはそれはもっともな動機を手記として残すのだ。

この後は書いてしまうとネタばれになるので書かないけれど、
普通ならここで一件落着となり、それ以上は追求しなくても良い状況なのに、
なにかがひっかかり加賀は上司に叱られながらも捜査をやめない。
その結果真実がわかるのだが、その真実がわかるまでの経緯も、日高が書いた小説がヒントになっていたりしてかなりおもしろい。

動機は野乃口の日高に対する「悪意」である。
しかし、本当に「悪意」なのかどうかは小説の中ではわかりにくい。
私も何度か経験があるけれど、ある人に対して特別悪意は無かったけれど、
不意に口から出た言葉や、態度がその人にとっては悪意になってしまうことはあるのだ。
ひょっとしたら心の奥底にその人に対して負のイメージを持っていて、
それが気持ちとは裏腹に表面化してしまうのかもしれない。
または、その人もまた私に対してあらわにしないけれど悪意を持っており、そのせいで私の口から出た言葉はすべて悪意としてしか伝わらないこともあるだろう。
いずれにしても、人間関係というのは複雑だ。


この小説は人間の心内の影の部分を利用した一風変わったおもしろい作品である。

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by Junpei642 | 2008-06-09 15:56 | Book Review | Comments(2)

「うつくしい子ども」 石田衣良

IWGPを読んですっかりファンになってしまった石田衣良
2冊目はちょっと暗いテーマの小説だったけど本としてはおもしろかった。

自然いっぱいの学研ニュータウンで起きた小学生の女の子殺人事件
平和だった町が一変する。
そして平和だった一家も一変する。

ニュータウンに住むどこにでもある家族、犯人はその家の中学生の次男だった。
それまで幸せを絵にかいたような家だったのが奈落の底へ落とされる。
父親は職場の社宅へ、母親、長男、長女は別の場所で生活をはじめる。
長男は犯人である次男も通っていた、理想校とされる中学へ戻ることを決心する。

かわいい次男、長女と違い、長男は頭がいいわけでもなくいまどきめずらしいにきび面の中学生である。昆虫好きという一芸が認められその学校に入学することができた。

弟は殺人犯でも弟であることには変わらない。いつか彼が帰ってくるときのことを考え、兄なりに弟を理解しようとして、この事件の調査を自らはじめることにした。
同じクラスの学級委員の友人と、男勝りの女の子が調査に協力してくれることに。
そうしているうちに、いろんな事が浮かび上がり、真実が見えてくる…

重いテーマではあるけれど、著者の独特な育ちの良さみたいなものが文章にあらわれており、やはりのほほんとしている長男のキャラとかぶってあまり重苦しさは感じられない。
むしろ、ミステリーを楽しむみたいにさくさく読める。

でも親の立場になるとかなり重い、そして考えさせられる。この手の事件や、家庭や学校がかかえる問題というのは現実にあちこちで今も起きている。
このお話だって、神戸の事件をベースにしているのだろうと思うけど、あの事件だって、犯人の親が本を出したりして事実を探っているけれど、だれも殺人犯を生むために子育てをしているわけではないし、中流家庭であれば自分の家は幸せ、子育ては間違っていないと思っている人が大半だと思う。つまり少年Aの家庭と私達の家庭と何ら変わらないってことだ。

子供って、ちょっとした影響で性格や価値観が変わってしまったりするものということを、私は娘を見ていて何度も感じた。
ちょっと話があえばその人に気を許したり、信用してしまうことはよくあることなのだ。
そしてその世界に自分も染まろうとする。
友人関係でそれを築き上げるのはいいことだけど、そのせいで誤った方向へ進んでいないかを、親はいつも正しく見ておかないといけない気がする。
言ったところでその時子供はすぐには聞かない。でも言っておくことは言わないよりもずっとずっと正しい。
ちょっとした心の動きをすぐに察知できるぐらい家族って近くないといけないのだろう。
そして日々の会話は非常に大切だ。
適度に離しながら適度に近づく、この距離感が親子では難しい。

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by Junpei642 | 2008-04-04 16:27 | Book Review | Comments(2)

池袋ウエストゲートパーク  石田衣良

日本語がとってもお上手な香港人のお友達Wahさんから借りて、
初めて読んでみた「石田衣良」
思っていたよりも新鮮で若々しい文章。
あっという間に読破した。

池袋で暮らす高卒の青年マコトは家業の果物屋を手伝いながら、近所に住む同級生などと楽しく暮らしている。
ある日、学生時代、補導されたときにお世話になった刑事から、連続絞殺未遂事件について操作に協力して欲しいと依頼を受ける。

その事件がきっかけとなり、マコトは池袋のヤングギャング達がかかわる事件のトラブルシューターとなる。

ストーリーは軽快で、独特のリズムがある。
うまく言えないけどテンポのいい曲を聴いているみたいな感じ。
文章にオチがあって、ところどころに気の利いた名詞がちりばめられている。
それが音楽みたいな感覚を引き起こすのだろう。
ストーリーもしっかりしていて、ちょっと海外ミステリーを原書で読んでいるような錯覚が伴う。
話しがおもしろいし、だるい部分がまったくないので一気に読んでしまえる。

特に楽しめるのは、マコトだけがかっこいいのではなく、彼が事件を解決するにあたって、いろいろ手伝ってもらう仲間が登場する。
それが痛快で気持ちよい。
池袋という土地をもっと知っていたらもっともっと楽しめたかもしれない。

シリーズで何作かあるようなので、近いうちに2作目を読んでみたいものだ。

今のところこれが私にとってははじめての石田衣良
実はあと2冊石田作品が本棚に並んでいる。
イースターの休みに読もうと思っている。うっしっしな楽しみである。

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by Junpei642 | 2008-03-17 21:36 | Book Review | Comments(4)

"Life"

1986年 結婚した頃、イミテーションジュエリーの輸出セールスのアシスタントをしていた。
同じ会社で出会っただんなは、輸入した雑貨のセールスをしていた。
LA、Honoluluに支社があったわが社は、アメリカからもめずらしいものをたくさん輸入しており、古いLIFE Magazineも大量に輸入していた。
そのままでも売れるし、ポスターにして売ることもでき、私もLIFEをたくさんおうちに持ち帰っては切り抜いて部屋に飾ったりしていた。

LIFEのことはすっかり忘れていたけど、片岡義男の本を久しぶりに読んでいて、1950年,60年代の雑誌にかっこいいアメリカがつまっていたことを思い出した。
でも手元にLIFEはないのでインターネットで調べてみた。

LIFEは昔と違ってmonthlyの雑誌に変わってしまっているけれど、サイトで調べれば今まで刊行されたすべてのLIFEの表紙が見られるようになっていて結構楽しかった。

「一番有名な表紙」も紹介されていた。
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Beatlesだ。
1964年初期にアメリカにやってきたBeatles
ツアーの終わりにマイアミでメンバーをリラックスさせた後撮影をしたのだが、この時点で、このFab4のことをきちんと評価していなかったLIFEは、その写真をすぐにカバーに使うことなくおいておいた。そして、再び彼らがアメリカツアーでやってきた8月についに日の目を見ることとなった。

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これは言わずと知れたケネディー大統領が暗殺されたときの表紙だ。
普通LIFEのロゴは赤のバックグラウンドに白抜きで刷られるのだけれど、11月の終わりと12月のケネディーを扱った2つのIssueのみ黒で刷られたのだそうだ。

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私が生まれた1964年2月24日の3日前のIssueは、ケネディー大統領を暗殺したLee Harvey Oswaldがカバーを飾っている。
生まれてすぐのIssueはキプロス戦争が表紙になっていた。当時キプロスは戦争中だったんだな。
そしてその次のIssueがこれ
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Cassius Clayことモハメド・アリである。この年の2月25日にソニー・リストンを倒し世界ヘビー級チャンピオンになった後みたい。Malcom Xとつながりがあったとかで一悶着あったようです。それにしてもアリ お若いですな。

そして娘が生まれた1988年9月はどうでしょうか?
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表紙はPaul Newmanです。
体の不自由な子供達のためにキャンプを開いていたのでしょうか?
表紙にはバーコードもついていますし、時代が大きく変わったことがわかります。
いつから月刊誌になったのかな?

片岡義男さんのおうちには古いアメリカの雑誌がいっぱいあるようで、
本を開けば、古き良きアメリカ世界にすぐに入れるんだろうな。
私も、LIFEの中でみたかっこいいアメリカをまた見てみたいな。

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by Junpei642 | 2008-02-14 13:25 | Book Review | Comments(0)


香港...出会いと別れが頻繁におとずれるtransitoryな街で、日本語を教えながら暮らしています。現在Kissing Fishというインディーバンドでベースを弾いております。ベースだけじゃなくてギター弾いて歌ったり、ドラムもたまにたたいたり、音楽とミュージシャンにかこまれ心豊かな日々を生きるパワフルおばちゃん!


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